高橋経済研究所『高橋財界月報』   総合研究所 ホーム

 高橋亀吉は、大正15年(33歳)東洋経済新報編集長を辞任し、日本最初の経済評論家として独立します。昭和7年(41歳)には、『高橋経済研究所』を設立して調査研究を始めます。高橋経済研究所では、昭和11年(45歳)から、追放される昭和23年5月まで、『高橋財界月報』を刊行しています。事実上は7・8月号まで刊行されています。昭和20年5月号は東京大空襲の時期に当たり、翌6月号と合併されて発行されており、終戦混乱時の昭和20年8月号と9月号は10月号と合併して発行されています。また、座談会や講演会の起稿である臨時報も数巻発行されています。

 『高橋財界月報』は日本証券経済研究所に第12巻(昭和22年)12月号を除いてすべて所蔵されています。しかし、老朽化が激しく閲覧はできません。

 残念ながら『高橋財界月報』は当研究所にはありませんが、自身で整理された『財界月報目次』があります。目次からは当時の活動をうかがうことができます。また規定には東洋経済新報社社長の三浦鉄太郎からアドバイスされたことが反映されています。三浦鉄太郎は、研究所を設立する際に、寄付関係者から言論の自由をおかされないようにと注意していました。「高橋財界研究会規定」からは寄付関係者から個人の言論の自由を少しでも束縛されないように配慮がなされています。

 高橋財界月報目次

    第1巻  (昭和11年)
    第2巻  (昭和12年)
    第3巻  (昭和13年)
    第4巻  (昭和14年)
    第5巻  (昭和15年)
    第6巻  (昭和16年)
    第7巻  (昭和17年)
    第8巻  (昭和18年)
    第10巻  (昭和20年)
    第11巻  (昭和21年)
    第12巻  (昭和22年)プランゲ文庫にマイクロフィッシュあり。
    第13巻  (昭和23年)プランゲ文庫にマイクロフィッシュあり。(7・8号まで) ※昭和23年5月に公職追放され、それ以後は発行されていない。(ちなみに、追放解除は1951年8月。)


 高橋財界研究会規定

 第1条 会員資格は普通、特別、その他の区別なく、単一会員組織とす。
 第2条 会費は、一口50円(前納のこと)とし、会費以外の賛助金、寄付は一切申し受けず。
 第3条 会員は本会の発行する月報、臨時報の頒布を受けるものとす。
 第4条 別に規定する所に従って(第7条)、高橋亀吉氏を中心とする講演会、座談会に出席することを得。
 第5条 月報(原則として毎月中旬)及び臨時報(不定期)を発行して、高橋亀吉氏を中心とせる意見、調査等を発表す。
 第6条 右に於て取扱う主要項目左の如し。
 (イ) 一般経済及び景気に対する基本的観測
 (ロ) 主要財政経済政策に関する批評並に主張
 (ハ) 各種の基礎調査
 第7条 本会は必要と認める場合、講演会又は座談会を開催して会員に公開す。