岡山101  灰ヶ峠付近の鉄穴流し跡
県位置コード 名  称 コード
岡山101 はいがたわ Mis-iron-1-1-OKAY
灰ヶ峠付近の鉄穴流し跡
地形種 地形項目 重要度 規模 保存度
その他の地形 鉄穴流し跡 A
所 在 地 図 幅 名
岡山県 新見市 2.5万 足立(高梁10-2)
    解  説
 
 中国山地では,近世に「鈩」と呼ばれる砂鉄精錬業が盛んであった。その原料は地元で産出する木炭と砂鉄であった。風化した花崗岩類の尾根や斜面を掘り崩し,流水による比重選鉱で砂鉄を採集していた。この手法が「鉄穴流し」である。鉄穴流しによって,山麓斜面は大規模に改変された。鉄穴流しの跡地はならされて耕作地として利用された。また,岩盤の中で未風化の部分は,堅くて掘り崩せなかったため,突起状の残丘「鉄穴残丘」として残っている。人為的な削り取りは厚さ5m位である。なお,掘り流した土砂の一部は源頭部や谷の出口に流し込まれて,「流し田」が造成された。多くの土砂は下流部へと運ばれ,河道や海岸に堆積し,天井川や三角州を拡大させた。
 新見市菅生の灰ヶ峠は高梁川沿いの谷から東へ1kmほど入った山中にあり,隔絶した小盆地となっている。一帯は風化の進んだ花崗岩や花崗閃緑岩が分布しており,近世には盛んに鉄穴流しが行なわれた。鉄穴流しの跡地は標高500〜600mにかけてみられ,小さな凹凸の点在する丘陵と浅い谷が入り組んだ複雑な地形となっている。
 旧菅生村には鈩や鉄穴流しと関連がありそうな,鉄クソ,鈩ヶ成ル,鈩谷,流レ田,古鈩などの小字がみられる。
 
 


1 灰ヶ峠の鉄穴流し跡


2 同上(右方)