広島96  小奴可付近の鉄穴流し跡
県位置コード 名  称 コード
広島96 おぬか かんななが Mis-iron-1-1-HIRO
小奴可付近の鉄穴流し跡
地形種 地形項目 重要度 規模 保存度
その他の地形 鉄穴流し跡 *A
所 在 地 図 幅 名
広島県 比婆郡東城町 2.5万 小奴可(高梁)
    解  説
 
 広島県北東部,東城市街地から北へ東城川を遡ること約10km,東城町小奴可付近に見られる鉄穴流し跡の地形。標高1000m級の山地の山麓部一帯に広がり,孤立した小丘と平坦な水田面からなる人工改変地形。
 小奴可花崗岩(黒雲母花崗斑岩)の分布域で,鉄穴流しのため,鉄分を含む風化部は削り取られて平坦地となり,やがて水田化されていった。硬質の未風化部は,削り残されて細長い小丘(鉄穴残丘)となっている。両者の対比が鮮やかな特徴ある地形景観を呈するため,かつて「小奴可地形」として,乾燥地域の山麓に発達するペディメントのような地形(岩石床)と見なされたこともあるが,鉄穴流しによる残丘と採掘跡の耕地化された平坦面からなる人工改変地形である。
 一帯は,古くから鉄穴流しによる砂鉄採取とそれに伴う開田が行われていた地域で,江戸時代後期〜末期には,50前後の鉄穴があり,比婆郡内では最多であったという。明治16年の鉄穴数は,124を数える。近代製鉄に取って代わられ,砂鉄採取が止むまで,東城川の下流域住民は,鉄穴流しによる土砂の流出に苦しめられた。
 
 


1 鉄穴流し跡が広がる小奴可付近


2 小奴可付近の鉄穴流し跡(圃場整備が進められている)


3 同上(右方)