広島89  吾妻山山頂周辺
県位置コード 名  称 コード
広島89 あづま Mis-pene-2-1-HIRO
吾妻山山頂周辺
地形種 地形項目 重要度 規模 保存度
その他の地形 準平原遺物 *C
所 在 地 図 幅 名
広島県 比婆郡比和町 2.5万 比婆山(高梁)
    解  説
 
 広島県の北東部,鳥取県境にある標高1238.4mの山で,その東部には比婆山(標高1264m)・毛無山(標高1143.7m)など,山頂付近が緩やかな起伏からなる山々が続いている。大部分が石英斑岩類からなるが,山頂部約200m(弥山と呼ばれる)は,更新世に流出した複数の溶岩(カンラン石玄武岩)からなり,やや急峻な山容を呈している。
 山頂周辺の標高1000m付近には,顕著な小起伏の地形面が分布しており,山頂西部の池ノ原,東部の大膳原には,広いなだらかな草原が広がっている。これらの小起伏面は,中国山地に分布する高位侵食小起伏面(高位侵食平坦面,脊梁山地面)に相当すると考えられている。
 山頂付近の標高944〜1040mの間に,備北層群下部砂礫層の残存物とされたウニ・海成貝類化石を含む海成層が見つかった(多井・今村ほか,1980)。このことは,標高1000m前後の高位侵食平坦面と標高400〜600mの中国地方に最も広く分布する吉備高原面は,かつて同時期に削平されていたが,その後,それぞれの高度に分かれて隆起したと考えられるため,中国山地の生成や準平原形成の時代を検討するうえで大きな意味を持つものとなった。
 一帯は,包ヶ浦自然公園に指定されている。海水浴場やヨットハーバーとして,観光客でにぎわっている。昭和49年(1974)より人工養浜事業が行われている。厳島は島全体が,特別史跡・特別名勝に指定(昭和27年(1952)11月)されている。
 
 


1 吾妻山山頂周辺の準平原遺物(手前のなだらかな草原は大膳原)