広島87 世羅台地 | ||||||
県位置コード | 名 称 | コード | ||||
広島87 | せら | Mis-pene-1-1-HIRO | ||||
世羅台地 | ||||||
地形種 | 地形項目 | 重要度 | 規模 | 保存度 | ||
その他の地形 | 隆起準平原 | *A | 大 | B | ||
所 在 地 | 図 幅 名 | |||||
広島県 世羅郡・双三郡・甲奴郡ほか | 20万 高梁・浜田・広島・岡山及丸亀 | |||||
解 説 | ||||||
広島県中央部,瀬戸内海沿岸平野と三次・庄原盆地に挟まれた,世羅郡一帯に広がる標高400〜600mの台地状の地形。吉備高原の一部をなし,世羅高原と呼ばれることもある。 吉備高原は,中国脊梁山地の南,広島県中・東部から岡山県にかけて広がる小起伏の台地状高原である。広島県の中・東部では,帝釈台と世羅台地がこれに属し,両者の境界は,庄原盆地南東部から総領町下領家−上下町の矢多田川上流−府中市の神谷川上流に至る北西−南東方向のラインにある。北東側に帝釈台,南西側に世羅台地が広がる。 世羅台地の広がりは,南西部は沼田川,南東部は芦田川上流の御調川,北西部南半は太田川水系の三篠川などの瀬戸内海に流出する河川の直線的に延びる深い侵食谷によって限られている。北西部北半のみは,日本海側に流出する江の川水系・簸川の浅い谷によって限られている。 台地上は,北東部や南西部を中心に部分的にやや標高の高い部分もあるが,多くは帝釈台面より起伏の緩やかな,標高の低い小起伏面(350〜500m)となっている。台地中には,標高600mを超える山塊が散在する。北東部の空山(標高715.0m)・岳山(標高739.6m),南東部の宇根山(標高698.6m),西部から南西部にかけての大土山(標高800.1m)その南の鷹ノ巣山(標高922.1m)・金明山(標高735.0m)・大谷山(標高653m),そして台地中央部の天神嶽(標高757.5m)・板鍋山(標高757.2m)などである。これらの山塊の山頂付近には,高位の小起伏面が分布することが多い。 台地の地質は,東部では花崗岩類が多く分布し,西部では流紋岩類が広く分布する。中北部には,帯状に吉舎安山岩類が分布する。台地中の標高600mを超える山体の多くは,硬質の流紋岩類から構成されることが多い。これらの地形・地質的な特質から,世羅台地面中の標高600mを超える小起伏山頂を持つ山塊は,かつて吉備高原面(帝釈台面)として形成された小起伏面の一部が,世羅台地面形成時の削剥に耐え,削り残されたものと考えることができる。 一方,世羅台地の中には,やや標高の低い平坦部(400m未満)がある。小起伏面上の河川によって浅く開析を受けた小盆地(甲田町・豊栄町乃美など)や江の川水系の美波羅川に沿って開析を受けた谷などである。一方,台地南東端の久井町一帯や南西部の福富町久芳・高屋町造賀などでは,瀬戸内海側への撓曲が推測されている。 台地上には,小起伏面形成後に貫入してきた玄武岩鐘(ドーム)の削り残された山(玄武岩残丘)が点在している。これらの玄武岩残丘の配列方向は,この台地に卓越する北東−南西・北西−南東方向や副次的な北−南・東−西方向と一致する。 台地上の河川沿い低地には水田が広がり,緩斜面はアカマツ林が広がっているが,一部では各種農地開発などによって,ナシやブドウなどの果樹園,畑地へと変貌している。 |
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1 世羅台地の北部(吉舎町付近)
2 浅く開析を受けている世羅台地(世羅西町付近)
3 緩やかな起伏をなす
4 世羅台地上の玄武岩残丘(黒川明神山)