広島43 上根峠の河川争奪 | ||||||
県位置コード | 名 称 | コード | ||||
広島43 | かみね | Flu-pira-1-1-HIRO | ||||
上根峠の河川争奪 | ||||||
地形種 | 地形項目 | 重要度 | 規模 | 保存度 | ||
河川地形 | 河川争奪地形 | *C | 小 | B | ||
所 在 地 | 図 幅 名 | |||||
広島県 高田郡八千代町 | 2.5万 可部 (広島) | |||||
解 説 | ||||||
広島市街地から北東約25km,北東−南西方向に直線的に延びる谷の中に上根峠がある。上根峠付近は典型的な河川争奪地形である。 北東へ流下する江の川水系簸川の上流部が,南東へ流下する太田川支流根之谷川によって奪われている。争奪を受けた簸川には,幅の広い谷底平野が残され,その南西端(八千代町上根,標高268.1m)は,北西−南東方向の断崖(比高約80m)によって突然終わっている。ここからは根之谷川流域で,川は南西方向へ直線的に流下している。谷底平野は狭く峡谷状となり,簸川と対照的な姿を見せている。 上根峠の地形は,河川争奪地形として発表された最初の例(下村彦一,1928)と言われている。その後,上根峠より南にある山塊の平坦部(平原,草田など)で,上根峠より高い標高に,かつての簸川の河床堆積物と考えられる礫層の存在が報告され河川争奪の様子が明らかになった。 現在では,旺盛な侵食力をもった根之谷川が谷頭侵食を進めて,上根峠の南西1.1kmの地点で,南東から流下する簸川上流の小支流(現・根之谷川支流桧山川)を最初に争奪し,続いて,さらに谷頭侵食を進めた根之谷川が上根付近に到達し,北西方向から流下する簸川の最上流部(現・根之谷川上流)を奪ったと考えられている。争奪面積は,29.11km²と見積もられている。 上根峠は,日本海側流域と瀬戸内海側流域を分ける谷中分水界であり,山陽側と三次などの山間盆地や日本海側とを結ぶ重要な交通路でもあった。現在の国道54号は,谷の東側の山腹をトンネルと橋梁で抜けているが,かつては,この断崖をヘアピンカーブの急坂によって行き来していた。 |
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1 上根峠の河川争奪(畑や集落から右手が争奪を受けた簸川谷底平野、左手は根之谷川の河谷)
2 風隙部(手前は根之谷川の谷壁)
3 上根峠南の平坦面(平原付近)
4 同上右方(平坦面の後方は、根之谷川河谷)
5 説明板